■ソウギョの糞塊 2008.7

下の写真は雄蛇ヶ池のシャローで見つけたソウギョの糞と思われる物体で、左下の写真で大きさにして親指の第一間接ほどのものです。
これは比較的鮮度がよいものと思われます。下記の転載記事において採取した時の糞は、形が崩れていることからも分かるように残念
ながらかなり時間がたち分解が進んだ糞と思われます。




以下は転載記事です。本稿転載は、「ザ・レイクチャンプ」よしさんより許可を頂いています。(転載元ページ:亀山ワカサギ情報


■■以下、転載分です■■


これがソウギョの糞塊だ(千葉県雄蛇ケ池の事例)
This is the Ctenopharyngodon idella fecal pellet of Onjyaga-ike pond, chiba.


fig.01 水面に漂うソウギョの糞塊(黄緑色に散在した部分)


fig.02 糞塊に明確な繊維質は見られない(画像範囲:400μm×1000μm)


fig.03 高倍率下の糞塊(画像範囲:200μm×300μm)


【これがソウギョの糞塊だ(千葉県雄蛇ケ池の事例)】
雄蛇ケ池(千葉県東金市)は、1614(慶長19)年に完成した、大規模な灌漑用溜池です。
ソウギョは除草を目的に、2006年早春に放流され、2008年07月現在、水生植物の減少が顕在化し、特に水面と水中をおおっていたヒシモ・オオカナダモ・ハス等の被植は既に壊滅または激減、池の水面に何もないオープンウォーターの面積は日々拡大しています。
養魚的にソウギョが好むとされるイネ科のヨシや、前記被植のほとんどが見られなくなった環境下で、何がソウギョの主要餌料であるのかは解明されていません。
そこで、雄蛇ケ池の各所に浮遊するソウギョの糞塊中、排出直後の比較的鮮度の高い糞塊の観察による餌料植物繊維の検出と、餌料植物の特定を目的に簡易調査を実施しました。

【結果】
●雄蛇ケ池の水面に漂うソウギョの糞塊(fig.01)を採取し、直ちに5%ホルマリン固定し、帰宅後に検鏡しました。
●しかし、当初の目論みは外れ、糞塊に明確な繊維質は見られませんでした(fig.02-03)。
●ソウギョの糞塊は、ミクロン単位未満のなめらかな海綿状で、表面と内部に直径2μm程度の球形粒子を多数含有するものでした(fig.03)。
●一部に、寒天状球体の表面に粒子の集合したようなものも、観察しました(fig.03)。

【考察】
★岩田ら(1992)による、中国の養殖場におけるセキショウモ属の水草(中国名:苦草 Vallisneria spiralis)を主たる飼料としたソウギョの糞の解析報告(※06)と、同報告に掲載された走査電子顕微鏡写真を、今回の観察事例と照合比較したところ、以下の相違がありました。
(01)岩田らの条件下では「この池の底泥の堆積物の量は少なく排出された糞は池中ですみやかに無機化されるものと思われる。」(pp.342)、「分解させた糞を静置して沈殿させ」(pp.342)とあるが、今回の観察事例では糞塊は採取時に水面に浮いており、保管サンプルも水面に浮いた状態である点が相違すること。
(02)岩田らの条件下では「排出直後のソウギョの糞は主として3−5mmの水草砕片からなっており、実験開始時では1mm以下の粒子は乾燥重量の約7%を占めるにすぎないが、(中略)実験終了時には1mm以下の粒子は糞全体の43%を占めるまでに増加してくる。」(pp.344)とあるが、今回の観察事例では糞塊中に1mmという大きな粒子は見られなかった点が相違すること。

従って、今回は観察サンプルが不適当と考えられ、本件目的には水面に浮遊する糞塊を用いる手法でなく、ソウギョの消化管を切開して採取した内容物を直接解析する必要があると考えます。

★今回の観察事例は、ソウギョが排出した「比較的鮮度の高い」糞塊であるかについて疑問が残り、「排出後16日以上を経過した糞塊」(※06)、または「糞塊の一部がスカム化したもの」のように、変質している可能性があります。
★「明確な繊維質は見られませんが、ミクロン単位未満のなめらかな海綿状である」(fig.03)、「直径2μm程度の球菌が多数繁殖している」(fig.03)ことが明らかになりました。

【謝辞】
本調査を実施するに当たり、雄蛇ケ池におけるソウギョの糞塊情報を頂戴し現地をご案内頂いた、ホームページ「雄蛇ケ池バスフィッシングガイド」(※08)主宰者つかじー(ハンドルネーム)さんに、お礼を申し上げます。

【参考文献】
(※01)土屋 実・中村一雄・船坂義郎・寺尾俊郎・粟倉輝彦(1970):草魚・連魚.草魚・姫鱒他.緑書房,東京,pp.11−89.
(※02)宮地傳三郎・川那部浩哉・水野信彦(1981):
ソウギョ.原色日本淡水魚類図鑑(原色図鑑32)全改訂新版6刷.保育社.大阪,pp.151−154.
(※03)● 作組(1983):草魚.中国薬用動物志.天津科学技術出版社,天津・中国,pp.203−205.(姓は十偏にソウ=刀の両脇にハネ点)
(※04)Hidenobu KuNiI(1984):Seasonal Changes in Water Quality and Surface Cover of Aquatic Plants in Pond Ojaga-ike, Chiba, 1978-1980. Memoirs of The Faculty of Science, Shimane University, 18, pp.59-68,
暫定和訳:国井秀伸(1984):1978年から1980年における千葉県雄蛇ケ池の水質と植被の季節変化.島根大学理学部紀要(18)pp.67.
(※05)牟田邦甫(1986):ソウギョ関係研究文献解題.水産庁東海区水産研究所陸水部pp.01−76.
(※06)岩田勝哉・高村典子・李家楽・朱学宝・三浦泰蔵(1992):
中国綜合養魚の生態・生理学的研究−T 好気的実験条件下におけるソウギョの糞の分解過程.陸水学雑誌(53−4)pp.341−354.
(※07)桜井善雄(1994):ソウギョと水草退治.続・水辺の環境学.新日本出版社.東京,pp.82−85.
(※08)「雄蛇ケ池バスフィッシングガイド」


採取:2008年07月13日(日)10:00 天候◎○ 気温(非公式):33.0℃ (at13:00)
水温:未測定 水位:0.5m減水 水の透明度:やや不良(アオコ現象あり)
発表:2008年07月31日(木)牛久沼漁業協同組合顧問よしさん

■■ここまで、転載分です■■