■雄蛇ヶ池(小ヤツ)のアオコ調査 2008.7
(2008.7)

※これは転載記事です。本稿転載は、「ザ・レイクチャンプ」よしさんより許可を頂いています。(転載元ページ:亀山ワカサギ情報

雄蛇ケ池のアオコ現象と原因藍藻類の変遷(2006〜2008年)
The waterbloom of Onjyaga-ike pond and the change of the waterbloom(2006-2008) .


fig.01 アオコ現象の水面(雄蛇ケ池小谷津)
水面に吹き寄せられているのは、ミクロキスティス3種(fig.02-04)とアナベナ(fig.05)です


fig.02 ミクロキスティス
Microcystis Aeruginosa
エルギノーザ

fig.03 ミクロキスティス
Microcystis Wesenbergii
ベーゼンベルギー

fig.04 ミクロキスティス
Microcystis Ichthyoblabe
イクチオブラーベ


fig.05 アナベナ Anabaena Spiroides var.crassa スピロイデス クラッサ

【雄蛇ケ池のアオコ現象と原因藍藻類の変遷(2006〜2008年)】
雄蛇ケ池(千葉県東金市)は、1614(慶長19)年に完成した、大規模な灌漑用溜池です。

【結果(2008年)】
2008年07月13日、千葉県雄蛇ケ池において、目視できる軽度の水の華(アオコ現象 fig.01)を引き起こしている、植物プランクトンを調査したところ、藍藻のミクロキスティス エルギノーザ(fig.02)、ミクロキスティス ベーゼンベルギー(fig.03)、ミクロキスティス イクチオブラーベ(fig.04)の3種と、アナベナ スピロイデス クラッサ(fig.05)の合計4種からなる複合現象であることが明らかになりました。

ミクロキスティス エルギノーザ(fig.02)の直径は3.2〜6.6μm、ミクロシスチンをつくることで知られ、雄蛇ケ池では2006年〜2008年に連続観察しています。
ミクロキスティス ベーゼンベルギー(fig.03)の直径は3.7〜7.6μm、袋型の寒天状基質の外縁部が明瞭で、雄蛇ケ池では2008年に初観察の優占種です。
ミクロキスティス イクチオブラーベ(fig.04)の直径は2.5〜4.9μm、海綿状で顕微鏡下でレンガ色に見えます。
ミクロシスチンをつくる系統とつくらない系統があり、雄蛇ケ池では2008年に初観察の種です。
アナベナ スピロイデス クラッサ(fig.05)は、ラセン状で、雄蛇ケ池では2008年に初観察の種です。

程度は、レベル4(水表面を膜状にうっすらとアオコが覆う)の段階で、このエリアの面積は20m×10m程と、比較的に軽度です。
この4種の複合現象を、顕微鏡下で見た様子を下に示します(fig.06)。

fig.06 アオコ現象の水中(雄蛇ケ池小谷津)
水中を顕微鏡で観察すると、「うわっ、何、これ」と、絶句状態です

【考察】
藍藻類の異常繁殖による問題は、水の華(アオコ現象 fig.01)を引き起こし、見た目の景観が悪いことや、層が形成されるように程度が進めば、圧密された表層の腐敗臭が耐えがたいことに留まりません。
藍藻類により毒素が生産されることが、問題の本質で、例えば「ミクロシスチンは肝臓毒として確認されていますが、作用として不明の部分も多く、他の藍藻類の毒性の発現もほとんど未解明状態」(※01)というリスクがあります。
さらには、「ミクロシスチン等の毒素が肝臓がんを促進する可能性がある」(※01)とする、藍藻類の発がんプロモーション活性に注意しなくてはなりません。


ミクロシスチンのマウスに対する毒性は、腹腔内投与により出血性ショックと肝機能不全で死亡する事例で、肝臓組織が破壊され、破壊された肝細胞が血流に乗り肺の毛細血管を閉塞させ、呼吸困難・窒息にいたります。
「ニホンウズラ・コイ・キンギョを用いた試験で毒性が示され、貝類と一部の動物プランクトンに生体濃縮が確認されている」(※01)ことから、食物連鎖による慢性毒性をも認識すべき時代のようです。

【原因藍藻類の変遷(2006〜2008年)】
2006〜2008年の3年間に、雄蛇ケ池で観察された藍藻類を示します(table.01)。

year 2006年08月31日 2007年08月12日 2008年07月13日
出現種 ●Microcystis Aeruginosa ●Microcystis Aeruginosa
●Anabaena Macrospora
●Oscillatoria Kawamurae
●Microcystis Aeruginosa
●Microcystis Wesenbergii
●Microcystis Ichthyoblabe
●Anabaena Spiroides var.crassa
table.01 原因藍藻類の変遷(2006〜2008年)

2006年の調査では、水の華(アオコ現象)の主原因は、ミクロキスティス エルギノーザでした(※02)。
2007年には、原因となり得る藍藻がミクロキスティス エルギノーザの他に、直線状のアナベナ マクロスポーラや、オシラトリアが加わりました(※03)。
2008年は、ミクロキスティス エルギノーザの出現が継続しているものの、ミクロキスティス属はベーゼンベルギーとイクチオブラーベの2種を新規に観察し、計3種と拡大しています。
優占種はベーゼンベルギーです。
アナベナは、2007年に観察された直線状のアナベナ マクロスポーラから、2008年はラセン状のアナベナ スピロイデス クラッサに種が置換わりました。

2006年早春に放流されたソウギョによる、オオカナダモ・ヒシモの壊滅状態と、ヨシ・ハスの激減にともなう水温上昇と底泥中の栄養塩再溶解が、藍藻類の変遷に及ぼす影響は明確ではありません。

【参考文献】
(※01)渡辺真利代・原田健一・藤木博太(1994):「アオコ−その出現と毒素−」257pp,東京大学出版会,\4738
(※02)よしさん(2006):「アオコとは(雄蛇ケ池における2006年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/
(※03)よしさん(2007):「アオコとは(雄蛇ケ池における2007年の事例)」http://wakasagi.jpn.org/

採取:2008年07月13日(日)11:00 天候◎○ 気温(非公式):33.0℃ (at13:00) 水位:0.5m減水 水の透明度:やや不良
発表:2008年07月18日(金)牛久沼漁業協同組合顧問よしさん

※その他のプランクトンについては
雄蛇ヶ池(余水吐前)の動物プランクトン をご覧ください。